【第1喰:陽喰らう雲】 2022/11/17 17:14 Facebookでシェア URLをコピー 報告 【第1喰:陽喰らう雲】 「ねぇ、刹那。ちょっと私、見つけちゃったな…種々くらい。」と言いながら神の子が後ろで手を組みながら姿を表した。「えぇ!?」と思わず声を上げた。美人で口調とはかけ離れた顔立ちに驚いた。「え、そんなにびっくりしないでよ。こっちがびっくりしちゃうな…」とニコッと笑った。俺はニヤけてしまうのを必死にこらえた。俺の通う中学校にもいないような美人だ。少し姉ちゃんに似ていた。実は姉ちゃんを小学生の頃になくしている俺にとって、なにか思い出すような感じがした。「あの、実は小さい頃に姉ちゃんをなくして。あの、その姉ちゃんに似てるなって思ってあ、ごめんなさい悲しい話とかして。」「なんかその話聞きたいな。良ければもっと詳しく教えて欲しいな。」と君が言った瞬間嬉しくて少し涙がこぼれた。「うん。こういう風に…話聞いてくれる人いなくってさ、すごく嬉しい。」というと神の子がこう言った。「うんうん。泣かないで…ゆっくりでいいんだよ。」とだんだん口調が優しく、ゆっくりに話してくれる神の子を前に涙がいっぱいに溢れ出た。涙を袖で拭いて丁寧に話した「実は、俺が小学生の頃、交通事故で姉ちゃんがトラックにはねられて死んでしまって…それから車やトラックとか乗り物が苦手で、すごく車とか気をつけてた。でもこうやって不注意で車にはねられてしまって、中学にも行けないし。これからどうしようと思ってた。こんなときに君に出会えて良かったな…」今になって感情が溢れ出た。涙も止まらない。「そうなんだ。それは悲しいなぁ、でも大丈夫だよ。安心していいよ。必ず刹那を生きて人間に戻すから。」 俺はこのとき初めて生きていることのありがたみが分かった。2人は夕方の空を見上げた。雲が赤い太陽にかかっていた。「今日の種々喰らいはこれで決まりだね。」と神の子がいうと、写真を撮った。「種々喰らいは案外どこにでもいるもんだな」「うん、そうだね。」2人は夕焼けを見て笑った。[種々くらい探しがいよいよ始まったよ!次回、お楽しみに。]